出会い


「D.Land」は、及川政志氏の作品です。
及川政志さんは、世界的に有名な設計士です。設計業界では知らない人はまずいません。
もしかしたら、あなたもご存じかもしれませんが、「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」を設計された方です。
すでに遊びに行かれた方、ファンの方も多いのではないでしょうか。
「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」だけでなく大規模娯楽施設を設計されている、及川政志さんに初めてお会いしたのは、今から4年くらい前のことです。
手狭になった医院のリニューアル(改装)を考えていました。
一回目のリニューアルを5年前に行ったばかりでしたが、年を追うごとにクライアント(患者さん)は増える一方です。
待合室では、立って待っている方だけではなく、医院の外で待っていらっしゃる方までいました。始めは大人しく待っていられる子供たちも、飽きてしまって騒ぐとお母さんに叱られる。そんなかわいそうな思いを子供にまでさせていました。
また、私たちの価値観である「予防管理型歯科医療」をクライアント(患者さん)に、更に快適に、かつ継続的に提供したいと考えていました。
そんな折、友人にこの話をしたところ、設計士をされている叔父さんがいるという事が分かりました。そこで、
「一度相談してみたいのですが、
紹介していただけないでしょうか。」
この一言から全てが始まりました。
その方が「東京ディズニーランド」を設計した及川政志さんであることを知ったのは、予約を取ったあとでした・・・。
相談の予約はしたものの、
「こんなに小さな歯科診療所の設計など
やっていただける訳ないよね。」
と半ば諦めていました。しかし、いい機会なので話だけでも聞いていただこうと事務所を訪ねました。
医院の理念や診療の在り方、今後、是非やりたい事、リニューアルを決意した経緯、コンセプトなどいろいろなことを話させていただきました。
相談も終わろうとしていた時のことです。
「面白ですね。実に面白い。
一回、現場を見せていただけませんか。」
という言葉が及川さんの口から突然飛び出したのです。
「狐につままれる」とはこんな時に使う言葉かもしれないと思ったくらいです。
事務所を出る頃には、すでに辺りはうす暗く、夕闇が迫っていました。
しかし、私には町は明るく、キラキラと輝き、全てのものがワクワクしているかのように見えたことを今でもはっきり覚えています。
「D.Land」という名称
「D.Land」という名称は、
- dental health prevention
- dental care
- dental treatment
- dental clinic
など歯科“Dental”に関する総合医療を提供する場という想いから名付けられました。
名付け親は、「及川政志」さんです。
「D.Land」を創った訳
「D.Land」を創った訳とは、
- 「予防・ケア・メンテナンス・治療・コンサルテーション・指導など」、歯科に関する総合医療の場を創りたい。
- スタッフが、自分たちの提供する歯科医療に誇りと自信を持って働ける場を創りたい。
- 「前田」も「歯科医院」も名称から削除したい。
- クライアント(患者さん)も歯科医師も歯科衛生士も、一緒にコミュニケーションができ、笑いと笑顔が絶えない場にしたい。
と考えました。
特に、子どもたちの喜ぶ顔が、楽しんでいる顔が見たかったのです。
「歯医者に治療に行ってくるよ」ではなく、「D.Landに行ってくるよ」という概念に変えたかった。
このような想いが「D.Land」を創らせました。
設計のテーマ「光と風」

風通しの良いシンプルな平面構造を取り入れ、各ゾーン端部には開ければ風の抜ける開口を大きく設けました。
特に、キッズルームの吹抜け塔の上部には通気口があり、窓が閉まっていても中に吊るしたモビールの気球は気流を受けてゆっくりと動く仕組みになっています。
玄関脇の塔状木製ルーバーや目隠しスクリーンのホテイ竹(孟宗竹の一種)など、爽やかな風を感じる構成となっています。
「遊び心」

エントランス正面のキッズルームには、「D.Land」のシンボルでもある槐(エンジュ)の木を設置してあります。
槐(エンジュ)は、歯の治療薬、止血剤の原料でもあり、縁起のよい樹とされています。シンボルツリーとして季節毎の飾り付けだけでなく、硬くてしなやかな樹は木登りもできます。
キッズルームは段差を設けて視覚的な面白さと立体的に遊べるようにしてあります。
キノコの椅子、切り株のテーブル、動物の椅子など、子どもの発想が広がる家具を用いました。
キッズルーム吹き抜けのミラー筒は下から見上げると無数の気球が不思議な空間の中を動き、見る位置によっては万華鏡のようにも見えて時間を忘れるくらいです。

カウンターの見切り帯状ミラーは待合室での待ち時間を感じさせない仕掛けです。ベンチに座ると大人とは目を合わせることなく、子どもとは、目と表情でコミュニケーションできる代物です。
待合室ベンチの座席部分には床暖房が仕込んであります。特に、冬はこのベンチに座るとほっとする瞬間が味わえます。
光と自然材料

各ゾーンの端部は風だけでなく光に包まれる構造になっています。
珪藻土の筋引き壁とバナナ繊維のすき込み和紙貼りの天井は間接照明により美しくやわらかい陰影の光を放つ仕組みです。
花梨の天然木のロゴマークをはじめ、床、壁、天井全て天然無垢材料を使用しました。
天然材のもつ微妙な色合いや光り方を重視した作品に仕上がりました。
